「それに……貴方はこうして家族に手紙を出したじゃないですか。 時間が過ぎれば勇気が必要になるのに……そんな事は、並大抵の覚悟がなければできませんよ」


ふと脳裏によぎったのは過去の出来事


あるきっかけで当時仲が良かった相手に手を差し出せずにそのまま疎遠になってしまった事


そして、向き合う勇気と覚悟がなかったせいで未だに心残りになっている事


俺だけが知っている苦い記憶……


「……俺は昔逃げてしまった事で取り返しのつかない事態を招いてしまいました。 だから、今は後悔しないようにどのような相手でも向き合うようにしているんです。

だからといって、昔の出来事をなかった事にはしたくありません」


『星夜、お前だけは絶対に……許さない』


憎しみを籠められた表情で投げつけられた言葉を抑えるように胸元を握り締めた