「仕事が終わった後はこうして教会に行って、祈っていた。 一日の終わりといるかいないか半信半疑で神様にお礼と愚痴を散々言ってたなー。 今もだけど」
ハハッと、笑い声を出してお父さんは私達に目を向ける
「あの頃は兎に角生きる事に必死だった。 働いて罵倒されても泥水啜る勢いで前にのめり込んだ。 この時間だけが唯一気を許していた」
視線を下に移したまま立ち上がる
「あー……心の準備ができていない。 謝りたい、話がしたい、娘の成長を見てもらいたい……ごちゃごちゃだ。 そうだもんな、おれは対した父親じゃなかったもんな」
「……お父さん」
イスに座り、両手で顔を押さえるお父さん
心の準備ができていないのは私も同じだ
意は決したつもりだったのに何も言えなかった
「ーーそんな事ないですよ。 秀一さんはちゃんとお父さんしてましたよ」
聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた
懐かしい声、ずっと聞きたかった声
恐る恐る振り向いても幻聴じゃないのは確実だった