私は無言で隣に座る
「……話はできたんだな」
「えぇ」
星夜は外から私の方へと身体を向けた
「それは良かった。 悪いな、戻らなくて」
「いいのよ、星夜が機会を与えてくれたから。 それがなかったら、お父さんとずっと話ができないままだったと思う」
私は自分の 胸に手を当てる
お父さんと話をした後、鉛のように重かった何かが嘘のように落ちて、スッと軽くなっていた
窓の外に移った景色にふと目を奪われた
一面の青い景色、現在海淵付近を走っている
「……今から行く所は海の見える町らしいわ。 私、生まれてからずっと海に行った事ないのよ」
テレビや雑誌などで間接的には見た事があるが直接はほぼはじめてに近い
「なら、夏休みになったら塁達誘って海に行くか? 今から見るだろうけど遊ぶにはまだ冷たいだろうな」
「よく行くの?」
「毎年とまでは行かないが、別荘を使って泊まっている」
「……それは、楽しみね」
星夜は笑って私の頭を撫でた
暫くして、お父さんの所に戻り、終点まで少しの会話をした