それを私はただ黙って聞いていた


何かを言うべきだろうか?


けど、何を言えば言いかがわからない


わからない、けれど………


「お父さん」


これだけは今、聞かなければならないと思う


今じゃなければ二度と私の口からは言えなくなるだろう


「あの時に言った言葉は今でも言えるの?」


あの時のお父さんが"嘘"だとすれば目の前にいるお父さんは……


「ずっと苦しかった…何度いなくなればと考えた事もある。 だけど、それもあって大切なものを見つけられたの」


大切なもの、それは今の時間


過ぎた出来事は二度と戻ってこない


仲間や友達、支えてくれた人達


そして恋人


私は希望を与えてくれた人達に恩を返したい


その為にも辛い事にも向き合わないといけない


「……ねぇ、教えて。 私は聞きたいのよ」


泣きたいのをグッと堪えてお父さんに聞いた