深呼吸をして、ドアをノックする


「どうぞ」


普段の落ち着いた声が聞こえてきた


「は、入るよ」


ゆっくりとドアノブを回し、ドアを開ける


それに合わせてイスに腰掛けていた星夜が振り向いた


「! 翼か、どうした?」


白のワイシャツにジャージのズボンとラフな格好に合わせ、肩にタオルをかけていた


「あ…もしかしてお風呂上がりだったの?」


「そう、だな。 ……まぁ、適当に座ってくれ」


「うん」


とりあえず、星夜が使っているであろうベッドに座った


その時に星夜が何か言いたげな様子を見せていたが、髪をかきあげて息を吐く


「どうしたんだ、何かあったか?」


「それは…え、と………」


「ん?」


いざ言おうとして、相手を目の前にして私の口が言うのを躊躇った


「あ、う…」


言葉が出てこない


緋麻里と決めたのに、言いたい事はわかっているのに


口から出てくるのはうわごとのような間の抜けた声


息をしたくて、胸を押さえて俯いた