「大丈夫よ。 緋麻里は仲間を大事にしてるから、熱くなるのは当たり前よね」


「……そうですが、何だか星夜には不服です。 翼ちゃんの幸せを願うなら遠慮はいらないと思います」


「遠慮、はしてないと思うわよ?」


私がそう言ったのは、この時は家族関係の話だと思っていたから


星夜は他人の家族に口出しをする権利はない、と割りきっての事だろう


だから、考えられる時間で答えを見つけようと促してくれた


……と、私はそう思ってる


私の考えを悟ったのか緋麻里は再びベンチに座った


「翼ちゃん、どうぞ」


そういって差し出したのはサンドイッチ


中身は苺と生クリームが挟まれている


恐らく、緋麻里のデザートだ


「それ、緋麻里のでしょ? 食べていいよ」


「いいんです。 あたしが翼ちゃんにあげたいんですよ、だから、遠慮しないで下さい」


「……そう。 なら、お言葉に甘えて、いただきます」


私はサンドイッチを受け取り、一口食べた


苺の酸味と生クリームの程よい甘さが口に広がる


「美味しいわ」


「それはよかったです!」


緋麻里は嬉しそうに笑った