「星夜は、"双方"の幸せを考えて、あえて何も言わなかったんですよ」
「双方の幸せ?」
「翼ちゃんと……翼ちゃんのお父さんです」
私とお父さんの……?
言葉が出なかった
確かに、何度も星夜には助けられた
けど、"恋人同士"という関係でも元は赤の他人だ
……星夜はどうしてそこまで考えてられるのだろう
「……星夜はそういう人なんですよ。 困っている人は助けたいとついつい動いてしまうんです。 あたしと翡麻里、颯一の時もそうでしたから。
あ、だからって決して翼ちゃんは助けたいから付き合うとかの理由じゃないですからね! 星夜にはきちんと好意があって……」
「クスッ……大丈夫よ、知っているから」
後半、慌てながら弁解する緋麻里に思わず吹き出してしまう
「…………すみません、つい…熱くなってしまって……」
緋麻里は顔を赤らめ、恥ずかしそうに謝った



