簡単な話、何かを知りたいのなら手紙の通りにお父さんに会いに行けばいい


――けれど、今の私にはそこに至るまでの心の整理ができていない


星夜が言葉を濁したのは、私と同じ考えに至ったからだろう


「…………まだ、時間はある。 何も一日で決めろとは書いていない」


「……うん」


私は手紙を封筒にしまい、頷いた


「翼、これだけは忘れるな。 翼はもう一人じゃない、だから、苦しい時は俺にいってくれ。 俺も背負うから」


「……っ」


ジワリと胸の中にあるものが込み上げてきた


「……ごめんなさい」


言い終わると同時に目から涙が流れた


「何故、謝る? 謝るのは俺の方だ。 叩いて、ごめんな」


星夜は私を引き寄せ、そっと抱き締めた


違う、星夜は悪くないよ、と言いたかったけれど私はそのまま声をあげて泣いた


そんな私を慰めるようにポンポンと背中をさすってくれる


だって、星夜の行動一つ一つに優しさを感じられたから


改めてお礼をいうのは、手紙の件が終わってからにしよう


そうして、この日は過ぎていった