「……翼は、仮に手紙を書いている時に何かで濡らしてしまった場合、そのまま相手に送るか?」
「送らないわ。 相手が不思議に思うし、私自身もちゃんとした物を送りたいと思うもの」
「だよな。 ……じゃあ、何でふやけた後があるんだろな」
「……それは…………!?」
私の前に誰かが読んだから
――私の前に読んだのはお父さんだ
「……あり得ない、お父さんが泣いていたなんて」
何だって仕事優先だったし、あんな冷めた目を向けてくるのだから
「翼の父親が手紙を読んでどう思ったかはわからない。 だが、少しでも"何か"を感じていたんだろうな」
「何、か……?」
「兎に角、それがわかればいいんだが、な」
「……」
星夜の言いたい事はわかる
つまり、"何か"は本人にしかわからないという事
想像はできる、けれど、それが本人の考えとは限らないのだ



