「……家に帰ったらお母さんがいなくなっていたの。 最初は買い物だと思っていたけれど、暫く経っても帰ってこなくて……お父さんが帰って来た後にお母さんが家を出て行った事がわかったの」
小さく折り畳まれた緑色の紙が離婚届だと言う事も
お父さんは離婚届を握り締めて何かを言っていたけれど、記憶に残っていない
その日から私とお父さんの間に溝ができてしまった
片方が埋めようとしても決して埋められない溝
結果、それが、今に至るのだけれど……
「――あぁ、そっか……」
話はじめて次第に冷静になっていった私の中で答えが見つかっていく
ポツリと呟いた言葉が非常に冷めきっていた
「…………お母さんが私に何も言わなかったのは、私を必要としていなかったからなのね」
子どもだったから、無力だったから、お母さんは私を嫌いになってしまったのね
「お父さんの言葉はあながち、間違ってはいなかったのね」
「……翼?」
以前だったら取り乱してしまっていた所を理解しきった今なら受け入れきれる



