父も母も読書家ではありましたが、ここまでの異常性は無いのです。
私に近いのは下の兄、オズワルドで、彼は私がこうなった理由でもあります。
私がまだ幼く、文字を読むことが出来なかった頃。
兄は私にオズの魔法使いを読んでくださいました。
その主人公が私と同じ名前であること、兄と同名の登場人物がいること、そして何より、物語の奇怪さに、私は心を奪われました。
それから兄は、私に毎日違う物語を読み聞かせてくださいました。
私が文字を読めるようになると、毎朝本を貸してくださり、夜に感想を求めるのです。
私も、そんな兄との日々がとても楽しかったのです。
今は、兄が王宮務めするようになり、忙しくなってしまったのでそれもありませんが。
その代わりに上の兄、ロミオが私に本をくださいます。
ロミオ兄様のくださる本は難しく、オズワルド兄様の下さった本とは異なり、また私は心が浮き立ちました。
そうして、今の私、本憑姫もといドロシー・モンタギューができあがったのでした。