ドロシー・モンタギュー、が私の名前。





シェイクスピアの物語にでてくるモンタギューとは、たぶん、いや確実に関係ない、モンタギュー家の長女。






ちなみに、ロミオとオズワルドという2人の兄が居ます。






ロミオ・モンタギューって、なんの冗談ですかね。






そして、ドロシーという名前は、母が大好きな物語の、オズの魔法使いの主人公から取ったもの。





兄のオズワルドもしかり。





まぁ、性格はオズのドロシーとは違い、冒険に出るような行動力は持ち合わせてません。





なにせ、本を読んでいる時が至福の時間なので。






というか、読書以外したくないといいますか。





普通、貴族の娘といえば、どこかのお茶会や舞踏会に出て、嫁入りする人を探したりするものですが。






…………別に結婚は後でもいいかな。





したくないわけではない。





早めに結婚して、両親を安心させてあげないととは思っている。





しかし、今は本が恋人。






家の書庫にこもり、父や兄が都心へ仕事に出る時には、ついて行って図書館へ入り浸る。





そんな生活をしていた私は、ついに周りから多くのあだ名を付けられた。





『本に取り憑かれた姫』、すなわち本憑姫。




はたまた『図書館の黒妖精』などなど。





黒妖精はおそらく私の見た目からだろう。





父譲りの黒髪は、外に出ないので日に焼けて色が落ちることもなく漆黒。






肌も同じ理由で日に焼けず、白というよりは蒼白。





それを見たらまぁ、人外を疑わなくもない…と、鏡を見て思わなくもない。







妖精、という程の可愛らしさは持ち合わせていないと思うけれど。







とにかく、そんなあだ名を付けられるほど本に夢中、というかそれ以外に興味が無い少女。






それが私でした。