他の人がこう訊かれたら妄言以外の何ものでもないでしょうが私は違います。



それに、適当な当てずっぽうでもありません。



その男子生徒は、前世の私の名前だけにとどまらず、ウィアとポルタの境遇や仕事や性格に至るまで全て言い当て。



さらには蒼い稲妻とあの銀貨のようなもの、それと蒼い石のことまで、明確に知っていたのです。



これは十中八九、この男子生徒こそがポルタの来世の姿であるとみて、まず間違いないでしょう。



しかしこの時点ではまだ、確証がありません。
物証も欠けています。



物証といっても、私がウィアであった物証はありますが、彼がポルタだったと示す物証は何ひとつ残っていません。



ですから私は、彼に向かって



「あの、ごめんなさい。たぶん人違いですよ」



とだけ言ってその場を後にしました。



「え、でも、そのストラップ……」



という声を、背中で受け止めて。