お祖母さまは



「かつてこれは、ペンダントに付いていたんだよ。でも持ち主が火事に遭(あ)って、鎖の部分は溶けて無くなってしまった」



と言っていました。



偶然……でしょうか。



冷静になって、この夢が霊夢である可能性を感じた理由を考えると。



夢の内容が、どこかの誰かからのメッセージであるように感じたからなのかもしれません。



この場合のどこかの誰かというのはもちろん、前世の私。
ウィア・エクレーシア。



ウィアは最期の瞬間、天に向かってこのように祈っていました。



(願わくば、次の世で彼と再び逢いまみえませんことを)



もし仮に、本当に私がウィアの来世の姿であるならば。
つまりあの夢は



『貴女(あなた)に、ポルタの来世の姿をした人物と出逢ってもらいたい』



というウィアの願いが込められていると言えなくもないのでは?



それを自覚したお陰かどうかは定かではありませんが。



その成就は、意外と早く、そして予想外の形で成されたのです。



「あの。火村先生ってもしかして、前世にウィアって名前じゃなかったですか?」



自らがとんでもない妄想癖の持ち主だと思われる可能性をものともせずに、藪(やぶ)から棒にこんなことを訊(き)いてきた人物はなんと。



私の教育実習先の高校の男子生徒、だったのです。