あるよく晴れた日。



お休みをもらったウィアは、ヤギの放牧に行くポルタに付き添って、ヤギたちを引き連れて丘の頂上まで行きました。



そこでウィアお手製のお弁当を広げて食べていた時です。



突然、青空を引き裂く蒼(あお)い稲妻が二度も二人を襲ったのです。



二人をというよりも、稲妻は二度とも、なぜかウィアを狙っていました。



一度目は、ポルタのおかげでうまく躱(かわ)す事が出来たのですが、その際、ポルタは足を挫(くじ)いてしまいます。



二度目の落雷直前、ポルタはポケットから銀貨のようなものを取り出して、その手を高々と空に向かって伸ばしたのです。



それはまるで、もう一度落雷がある事を知っているかのようでした。



すると、再びウィアを狙った二度目の落雷が確かに発生し、しかも不思議なことに、稲妻は急に進路を変えて、銀貨を掲げた彼に直撃したのでした。



これはあくまでも私の憶測に過ぎませんが。



もしかするとポルタには、蒼い稲妻の正体がわかっていたのかもしれません。



だからポルタは、ウィアを助けることが出来たのでしょう。



ですが、あの稲妻や銀貨のようなものが何なのか、なぜ稲妻を引き寄せたのか、なぜポルタがそれを持っていたのかなど、わからないことが多々あります。



確かなのは、文字通りの青天の霹靂(へきれき)によってポルタが命を落としてしまったということです。