「ポルタがウィアを大事に想っていたのは知っていましたけど、ここまで一途に思ってくれていたなんて――」
その日の帰り道。
並んで歩いていて、ため息のあとのそのつぶやきをよく聞き取れなかった僕は、彼女に問いかけた。
「いま、何て?」
すると彼女はそれには答えず、いきなり僕に頭を下げて、冒頭の言葉を口にした。
「ずっと否定していてごめんね。本当は私も、彼女も、ずっと君に逢いたかったの」
このときに。
彼女はようやく、自分の本当の気持ちを、僕に打ち明けてくれた。
「……え?」
「え? いま私、何か変なこと言った?」
「い、いやいや。何でもありません。ウィア――じゃなかった。火村先輩が僕をそんな風に思ってくれていたと知って、驚いただけです」
細かいことは、取り敢えず後回し。
「あらためまして、これからよろしくお願いします、火村先輩」
「ええ、こちらこそ、羽丘後輩」
まずは、改めて笑顔から始めよう。
時を越えて再びあいまみえた、二人の物語を。