もともと僕が負っていたのは、彼女の転生を見届ける役目だけ。




以前の僕の名前に「門」という意味があるのはあなたも知っていると思うけれど、それは僕が〝転生の門〟と呼ばれる特殊な蒼い鉱石をあずかる、監視役である〝しるし〟なんだ。




本当は、黙って見届けなければならなかった。




ウィアが〝蒼き稲妻〟に撃たれるその瞬間を。




でも出来なかった。




嫌になってしまったんだ。




自分の役目が。




出来るわけがなかった。




愛してしまった女性(ひと)が死ぬ瞬間を、黙って見届けることなんて。




一度目は、この身を挺(てい)して、二人一緒に稲妻を躱(かわ)した。




だけどその際、足を挫いてしまい、二度目を躱すことが出来なくなってしまった。




だからやむなく、銀貨のようなものにカモフラージュしてウィアの服のポケットに忍ばせておいた〝転生の門〟を自分のポケットに呼び戻し、それを高く掲げて、彼女の身代わりになることを選んだ。




けれど、その判断は大きな間違いだった。




僕がしたことは結果的に、死者とその死を嘆き悲しむ者とを逆転させただけだった。




ウィアが僕に好意を抱き、愛してくれていたことには、僕だって気付いていたのに。