柿沢店長の言葉は、頭の中じゃ理解出来てる。


どっちにしても私が借金を返済するのだから、貸してくれている人が変わるだけだとも思う。


でも、一時とは言え、借金を肩代わりしてくれる氷藤社長に借りを作るようで、なんだか素直には納得出来ない。


頭では理解出来ても、胸の奥で何かが引っかかっている感じがする。


「取り敢えず、其方は車道で危険ですから、開きかけのドアを閉めてくれませんか?」


柿沢店長の諭すような言い方に、何も反論出来ず言われた通りにドアを閉めた。


たったこれだけの事でも、言い負かされたような気分になる私は、負けず嫌いなんだろうか…。


ドアを閉めた今が、決断の時だ。