その言葉には感謝の思いが籠もっていると感じたし、社長室での様子から氷藤社長に畏敬の念すら抱いてるように思っていた。


それに、柿沢店長は氷藤社長が反乱分子は即時に削除するとも…。


こんな事で反乱分子とも言わないんだろうけど、悪く言えばイエスマンの柿沢店長が、氷藤社長の意志に素直に従えないなんて、意外としか言いようがなかった。


「ですが、良いですか、良く聞いて下さい。私と社長は蘭さんの借金の理由までは知りません。でも八百万の借金を背負ってまで、守りたい何かが有るのでしょう?その金額なら一ヵ所からの借り入れではないでしょうし、その分の金利も払い終えるまで負担になりますよね?どうしても守りたいものなら、手段は選んでいられないんじゃないですか?」


…確かに、柿沢店長の言うとおり、借金してる場所は一ヵ所じゃないから、それぞれに金利がかかってる。


私には多額すぎる借金を背負って、手段を選んでいられないし、もう一つの理由が有るからこの世界に飛び込んだんだ。


でも、やっぱりどうしても引っかかってしまう。


「それに、ウチが肩代わりすると言っても、それは一時だけの事ですから、きちんと支払って貰うつもりでしょう。蘭さんにとっても借金を一つに纏められて、給与から返済された方が楽だと思いますよ。」