「今は[ルージュ]か?」


「そっちは先週までで終わりましたよ。今は…。」


向こうから聞こえてくるドアの開く音に、辰巳の声が止まった。


水の流れる音を聞きながら、パッケージから次のマルボロを引き抜いて火を付けていると、向こうで再びドアの閉まる音が聞こえてくる。


「今は[whiteーcastle]で楽しませて貰ってます。」


「報告は?」


「どっちも特には有りません。ただ[whiteーcastle]の方は、今は押し黙っているという雰囲気ですね。」


電話越しで、辰巳の声に真剣さが増した。