デスクの上にある、デジタル時計に視線移した。


無音のそれは、午後七時半を表示している。


隣に並ぶ電話機には目もくれず、スーツの内ポケットから携帯を取り出す。


ビルトインの空気清浄機が、立ち上る紫煙を吸い込んでいく。


電話帳から探し出した番号に電話を繋ぐ。


画面に泳ぐ十一桁の番号に、微かに耳に届くコール音。


六回目のコール音の鳴り終わりに、漸く奴が電話に出た。


「もしもし?」