演出の為に、光量を落とされた照明。


そんなダウンライトの中、思い思いのドレスを身に纏った、色とりどりの華が咲き誇っている。


美しく、可愛く、気品高く、淑やかに、爛漫に、溌剌と、蠱惑的に…。


色とりどりなのはドレスの色だけでなく、それぞれのキャストが持つカラーも豊富。


表面の美しさを保ったこの中に、蹴落としや裏切りや打算的なずる賢さが隠れてる。


思わず溜め息が出そうになりながらも、私にはこの世界で借金を返すしかないのだと、自分にもう一度言い聞かせた。


お母さんとの思い出を守る為に…。


心の中で言った言葉に頷きを返して、ロッカールームに向かって歩き出した。