「私は社長に拾われた人間ですから。さぁ、そろそろ行きましょうか。」


変わらず抑揚無くそう言った柿沢店長だったけど、その言葉にこの人も過去に色々有ったんだと悟った。


そして、その頃には感情の起伏も有ったんだろうと…。


歩き出した柿沢店長の後ろを付いて行くと、社長室の前で不意に振り向かれた。


「それと、さっきのような発言は、社長に対して不満を持っていると見なされ兼ねませんので、今後は控えるようにして下さい。社長は反乱分子は即時に削除しますし、此処ではキャスト同士の裏切りや蹴落としは日常茶飯事ですから。」


削除って…私達は物じゃなくて人間なのに。


でも柿沢店長の言葉に、改めてこの場所で甘えは許されないのだと再確認した。


「失礼します、蘭を連れてきました。」