「それと最後になってしまいましたが、本日より柴山さんに変わりまして私が店長を任される事になりましたので、皆さん宜しくお願いします。」
最後まで詰まる事無く言い終わった柿沢を見ながら、背にしていた社長室のドアを開いた。
柿沢を見ている限り、不安要素はない。
──お願いします。俺を、俺を雇って下さい──
十六で家を飛び出したという柿沢は、店を出てリムジンに乗り込もうとしている俺を捕まえてそう言うと、飢えた目つきのままその場に土下座した。
そんな柿沢の目つきに、ふと昔の自分を重ねている自分が居た。
感情を表す術を持っていた頃の自分…。
その姿に懐かしさも覚えながら、次の瞬間には決別していた。
金も無く無力な自分など、思い出したくもない。
最後まで詰まる事無く言い終わった柿沢を見ながら、背にしていた社長室のドアを開いた。
柿沢を見ている限り、不安要素はない。
──お願いします。俺を、俺を雇って下さい──
十六で家を飛び出したという柿沢は、店を出てリムジンに乗り込もうとしている俺を捕まえてそう言うと、飢えた目つきのままその場に土下座した。
そんな柿沢の目つきに、ふと昔の自分を重ねている自分が居た。
感情を表す術を持っていた頃の自分…。
その姿に懐かしさも覚えながら、次の瞬間には決別していた。
金も無く無力な自分など、思い出したくもない。


