氷の華

無理矢理に涙を堪えた事だけで、自分が少しだけ強くなれた気がした。


急いで化粧を直し、氷藤社長から貸し与えられたマンションを出た。


どうせもう、指名客は一人も居ない。


元々戻る道は無かったのだから、後ろを振り返る事もしなくて良い。


一からスタートラインに立った気持ちで出直すには、これで良かったのかもしれない。


そう考えなければ、泣き虫な私が顔を出してしまいそうだった。


ドレスを着た私は、[ミルキィ]の蘭。


タクシーの中で自分に言い聞かせ、勢いよく[ミルキィ]のドアを開けた。


「お早う御座います!」