氷の華

新規のお客様に顔出しも終わり、一息吐く間もなく宮口さんが来店された。


待機用のテーブルに戻る所だった私は、宮口さんの姿を見つけて踵を返した。


勿論、表情には造花の笑顔を携えながら。


「いらっしゃいませ、宮口さん。」


あれから、三日と空けずに来店して下さる宮口さんには、本当に感謝している。


接客にも、自然と力が入るのが分かる。


「蘭ちゃんに出迎えて貰えると、何時もより美味しい酒が呑めそうだな〜。」


「ふふ、煽てられても何も出ませんよ。」