現世から隔離された空間で、見えてきたビジョンに一人で乾杯を交わしていた。


それを邪魔され、様子見の言葉を投げかけてくる莉沙に、苛付きを覚え始めていた。


「じゃあ正直に言うわ。他に気になるキャストが居るの?」


傾けようとしていたグラスを宙で止め、肘掛けに腰を置く莉沙にゆっくりと顔を向けた。


「言ってる意味が分からない。」


抑制の意味を込め言い放った言葉に、莉沙は小さな笑みを零した。


「今日ね、お店が終わってから、流亜が連れてきた新人と三人でコーヒーを飲みに行ったの。名目は歓迎会だったけど、其処で面白い話しを聞けたわ。」


如何にも意味ありげに話しをしている莉沙に、鼻を鳴らしながらマルボロの穂先に火を付けた。