「そんな事はない。」


遠くから様子を伺ってくる莉沙の言葉は、抑揚無い言葉で一蹴した。


普段なら、これで口を紡ぐはずだ。


客とのトラブルか、他のキャストまたはスタッフとのトラブルか…。


莉沙の多弁な理由を探り当てようと、酔いの回ってない頭で思惟を巡らせていた。


「何のお酒?」


言うまでもなく、銘柄を聞いている訳ではない。


普段は余り口にしない酒を、何故呑んでいるのかという意味だった。


「意味が無いと酒を呑んで悪いのか?遠回りに聞くのは止めたらどうだ。」