リビングの四隅に置かれたダウンライトの柔い光は、一人静かに酔いしれるに打って付けだ。


そんな現世から隔離された空間に、来客を知らせるチャイムの音が響き渡る。


鬱陶しさを感じながら、ロックグラスを傾けつつ玄関に向かっていく。


この時間帯などと考えなくとも、このマンションを訪ねてくる人間は一人しか居ない。


鍵を開け、ドアをそっと廊下へ押しやった。


「突然で驚いた?」


悪気など感じていないような莉沙は、そう言いながら玄関へ入ってきた。


「呑んでるなんて珍しいわね。」