氷の華

借金を全額返済して、開店資金を貯められたのなら、私もこういう演出手段を考えなければならない。


まぁ、借金は返さなきゃならないものとして、私がそこまでのキャストになれるのかは分からないし、自信も無いけど…。


氷藤社長の事を見聞きすればするほど、情け容赦のない人だと分かる。


リーチになった覚えはないのに、もう後はないとリーチをかけられた気分だ。


他の皆も、そんな緊張感の中に居るのだろうか。


待機用のテーブルに戻ると、愛さんも恋さんも乃亜さんの姿もなく、私一人だった。


これだけでも、[ミルキィ]の人気ぶりを計るには十分。


ポツンと一人で待機用のテーブルに居ると、華やかな雰囲気を纏った女性と男性が入店してきた。