天井から下がるシャンデリアに、明らかなコピーものの絵が飾られているが、全て見せかけだけだ。


中身など二束三文の価値も無い。


見栄えだけ良くしていれば、酔客など簡単に騙せるという黒谷の考え方が詰まった箱。


懐かしむ気にもなれず、入り口に近いボックスソファに腰を下ろした。


内ポケットからマルボロのボックスを取り出し、一本引き抜いて口にくわえる。


その時、突然横から差し出されたライターの火に、穂先をかざした。


細く白い十本の指に包まれた、細身のライター。


白と黒の細いストライプ模様が斜めに描かれ、細かなラメが長い爪を彩っている。