氷の華

バタンと閉められたドアを背後に、力無くその場にへたり込んだ。


なんだか、張り詰めていた気が抜けてしまったみたい。


リビングらしき部屋に伸びている廊下を、現実味を感じられずにぼんやり眺めていると、バックの中の携帯が騒ぎ出した。


広い玄関に響く着信音。


ディスプレイに表示されていたのは、全く覚えのない十一桁の番号だった。


「も、もしもし。」


胸の中が落ち着きを見せない場所での、知らぬ番号からの着信に、微かに声が震えていた。


「マンションには着いたのか。」