氷の華

「どうぞ…も変ですが、先ずは入って下さい。」


「え?あ、はい。」


促されて玄関に入ったけど、部屋の中は真っ暗で何がなんだかさっぱり分からない。


でも、なんとなく生活感が感じられないと思ったのは、良く声が通った事から家具が少ないと感じたからだ。


スイッチを探そうと、壁を手探りで撫でる音がハッキリと聞こえる。


パチリと音を立てて付けられた蛍光灯の明かりに、思わず自分の目を疑った。


廊下に並び積み上げられた段ボールに、私のアパートにあったテレビ、見慣れた家具の数々。


新しそうなマンションの白い壁とそれ等が並んでる光景は、タイムスリップしてきた過去と現在のように感じられた。