氷の華

両手一杯になった荷物をトランクに詰め込んだ柿沢店長は、それにも顔色一つ変える事無く運転を始めた。


勢いで買っちゃったけど、ドレスを掛けておける場所なんて有ったかな。


そんな事を考えながら、薄暗くなってきた街並みを眺める。


温度を無くした寒風は、街行く人に容赦なく吹き付けていた。


それを眺めていると、私のアパートに戻る道ではないと気付く。


もしかして、送っていってはくれないのかな。


そう思うと、勢いはいえ両手一杯の荷物となったドレスを買ってしまった自分が、恨めしい気分だった。


「降りて下さい。」