「...わかったわ。じゃあ約束よ?」
そういって小指を差し出す母に
小さく顔をしかめる琉羽。
「お母さん、僕達はもうちっちゃい子じゃないんだよ...?」
「分かってるわよ。でもほら、約束、だからね」
ほら、と指を差し出し、
琉衣と琉羽は母の細くて長い指に
父が母よりも大きくて太いのびやかな指を、
琉衣と琉羽はそれぞれの華奢な指を、絡める。
指切りげんまん
嘘ついたら針千本のます
指切った。
恥ずかしいのか琉羽はぱっと指を離した。
「じゃあ行くわね」
くすっと笑って母はドアに手をかける。
「うん。気をつけてね」
小さく手を振りながら琉衣は母を見る。
「楽しんできて!あ、あとお土産よろしくね!!」
どうやら琉羽の目的はお土産だったようだ。
「はいはい。いってきます」
「いってきます」
父と母は外に出て、ゆっくりと2人背を向けた。
「「いってらっしゃい!」」
玄関のドアは夫婦2人がこの家を出ていくのを
惜しむように、ゆっくりと閉じて行った。

