ゴロゴロゴロゴロ...
少し距離が近づいたのかさっきよりも
音がはっきりと大きくなっている。
少し大きくなった音にかすかにびくっとする。
2枚の桜貝の様な唇をきゅっと噛み締め、
うつむく。
「...別に、琉衣なんか、
いなくても、怖くない、し.....」
手に持っている説明書がぐしゃりと潰れる。
華奢な手のひらでNiiをきゅっと握り締める。
「...へーき、だし.....」
ゴロゴロ...
ぴゃっと飛び上がり背中を丸めると
恐る恐る後ろを伺う。
「ほ、ほら怖くなんかないし、
げ、ゲーム、そうだよマリカしよ!
え、えっとどーす...」
...ピカッ
グォロオァオオオオオオオ
窓は一瞬目が眩むほどの光を放ち、
一際大きい獣のような咆吼をあげた。
近隣に落ちたのだろう。
「...っ」
華奢な背中は小さく上下する。
その小さな手から
汗で湿りクシャクシャになった説明書が零れ落ちる。
「怖く...ないっ...
怖くなんて、ない...」
カーペットにぽたりぽたりと雫が零れて染みを作る。
「怖くなっ...」
ピカッ
グロォォォォオオオ
「いやぁあああっ」
空いた手で両耳をむぎゅっと塞ぐ。
「るい!るいっ...る」
ピカッ
「いやぁあああっっ」
華奢な背中が頼りなく丸まり、
衣ちゃ...っだずげ琉いっ...たす、けてっ」
グォオォオオオオオ
「っ...るい、ちゃ...るいちゃん...っ」

