始まりは……
今から、一ヶ月程前のことだった……
私は、全国NO.1の暴走族「乱舞」
の姫だった。いわゆる「守られる存在」。
一度沈んでしまった私の心を救い上げて
くれた彼らは、私にとって唯一無二の、
太陽だった。
私が乱舞に入って3ヶ月ぐらいたった
時、幹部の龍馬がある女の子を連れてき
たんだ。
龍「こいつ……俺のイトコなんだ。 今まですげぇイジメにあってたらしくて、親からも虐待されて俺のとこまで逃げて来たんだ……頼む!こいつをみんなでまもってくんねーか!?」
奏「……わかった。お前も今日から姫だ。」
そして瑠衣は、姫になったんだ。
なんの異論もなかった。私の大好きな
人たちが仲間にするって認めたひとだか
ら……。
最初は、歓迎したよ、最初はね。
まさにお姫様って感じのかわいいふわふ
わした女の子。私とは大間違い。
だからこそ、次第に彼らは、瑠衣ばっか
りに
構うようになった。
私は、倉庫でも、お人形みたいに1人で
ポツンと座っているだけ……
いや……空気なのかな?……存在すら気
づいてもらえない。
そんなことが続くようになって、私はと
うとう倉庫に行かなくなった。
心配もされない……
『いらない存在』に逆戻りかな……
私が倉庫に行かなくなって5日ぐらい
したとき、奏多から連絡が来たんだ。
奏「……今すぐ来い。……」
たったそれだけの一言。
私に向けたことのないドスの効いた声色
で電話してきたんだ。