となりを埋めて。




気づいたときは口の中に、甘い、甘いオレンジの味がした。



コウちゃんが口移しで私にオレンジを食べさせたのだ。



「オレンジ、美味しい?」


オレンジを噛む、のみくだす。


「マナミともこんな風にキス、したの?」



「こんな風にはキスしてない。」

コウちゃんの瞳は私を見ていなかった…いや、何も写ってなかった。


「…キスしたんだ。」





「別に…お前ともしたじゃん、今。」



「なっ…」



「だから、もうどうでもいいじゃん?」



「………どうでもよくないっ!」