私の名前は 日下部 翼 (くさかべ つばさ) 16歳。
髪の毛は黒髪ロング。整った顔はきっとお母さんのおかげ!

そんなお母さんは、有名な女優さん!「日下部 亜希子 (くさかべ あきこ)」 と聞いて、知らないと答える人は多分いないだろう。

こんな、どこかの話のヒロインのような私にも苦手なものがある。それは雷と、男の人。
雷はいいとしても、男の人が苦手なのはヒロインとして失格だ。
でもこれはどうしょうもない。あの男が、お母さんを裏切ったからいけないんだ。

あ、でも唯一平気な人がいる。それは優兄(ゆうにぃ)だ。ホントは優也って言うんだけど、私は優兄って呼んでる!
あ!!本当のお兄ちゃんじゃないよ。面倒見が良くて、とっても優しい近所のお兄さん!23歳なの。

まぁ、優兄の話は置いといて。お母さんが映画のヒロインに決定したの!! "The sweat candy" っていうアメリカの映画で、だから3カ月間アメリカに行くんだって!すごいよね!!
私もついて行っても良かったんだけど、お母さんに

「3カ月間なんて短いんだから待っていなさい。」

って言われちゃったから寮の学校に転校する事になったの!

「"桜場高等学校"っていうんだけどね!もう手続きは済んでるから、荷物だけ先に寮に置いてきちゃいなさい。あ、翼の部屋に学校の制服とか置いてあるからちゃんと来てくのよー♪じゃ、私はもう行くわね。Bye♡」

そうして1人で一気に喋ったお母さんは、私の返事を一切待たずに家の前に止まっていた大きな黒い車に乗って行ってしまった。

はぁ。と溜息をつきながら部屋に戻って荷物をまとめていると、何かが落ちる音がした。

「...メモ紙?お母さんが書いたのかな?」

そう思い私はお母さんの書いただろう手紙を読んだ。

「翼へ
あなたがこの手紙を読んでいるということは、きっともう男子校の生徒になる覚悟ができたのね。学校へはウィッグと、メガネをつけて行くのよ。
ままより♡」

「はぁ!?だ、だ、だ、男子校!?!?ってか、何ちゃっかり♡なんて付けてるのよ!!」

私はしばらく動けなかったが、こうしてても意味が無いと思い制服に着替えてみた。

胸で流石にバレるのでは?っと思い人生初のサラシを巻いて、ウィッグをつけて、メガネをかけた。

「想像以上にダサい。」

私はそう呟き、今までお世話になった部屋をそっと後にした。