これを綺麗だと思ったのはいったいいつだったか、と。 それを思い出せたら私は取り戻せる気がする。 何を取り戻したいのか、皆目検討もつかないけれど、何かが元に戻るようなそんな気がするのだ。 「こっちに、戻ってきてよ」 私よ、元に戻っておいで。 いつか聞いたおとぎ話のように語りかけて、届くはずもない夕焼けに手を伸ばした。 届かないものに手を伸ばしてばかりの人生だなあ、とひとりごちた。 「みゆき、」 自分で呼んだその名前は未だ違和感が残ったままで。