義理じゃないチョコ、あげます。





子供のように泣き続ける私。


みっともないってわかってるけど。




…好きなんだから、仕方ないじゃないか。




ヒロの胸に顔を押し付けて、ぎゅう、と腕に力を込める。




「おい、カナ!話を聞けって!」




ぐいっ、とヒロの手によって無理やり上を向かせられると。


ぐしゃぐしゃな顔が、目の前の瞳に映っていた。




ヒロは一瞬呆気にとられて。




「…ぷっ。ひでえ顔!」


「そこで笑うの?!もう嫌い〜〜〜!!」




私は、再び顔を俯かせようとする。


しかし、ヒロがそれを許してくれない。




「はは、悪い悪い」


「全然反省してない〜〜〜!」


「あ、バレた?」




やっぱり、おどけた口調で。


だんだん本気で腹が立ってくる。




「…もうヒロは…!」


「あれは違う。いきなり押し付けられただけ」


「…え…」




私の言葉を遮り、ヒロが言って。


私は何も言えず、押し黙る。




私はきっと。


ヒロの、この真っ直ぐな目に弱い。




「だから、あれに俺の気持ちはないよ」


「…うそ」


「嘘じゃない。俺が好きなのはカナだけ」


「…っ…」