やっと、言えた。
自分の心臓が、暴れる音を聴きながら。
目をそらさずに、じっと見つめて。
長い長い、沈黙。
私にとっては、一生終わらないんじゃと思うくらいの。
しばらく呆然としていたヒロは、ふと我に返ったように、一度目を逸らして、また私に向き直る。
こんなに緊張したのは、いつぶりかな。
そう、他人事のように思ったとき。
ヒロの口が、開かれた。
「…どうしよ、俺」
「…へ?」
発せられた言葉は、喜びの言葉でも、謝罪の言葉でもない。
なんだか、拍子抜けだ。
「え、ヒロ?」
私がさらに見つめ返すと、ヒロは少し、泣きそうな顔。
…ちょっと、よくわからない。
混乱する私に、何か深刻そうなヒロは…
ぐいっ
「えっ」
気づいたら、私の体は。
その大きな腕に包まれていた。
「…嬉しすぎて、どうしよ…!」
耳元で聞こえた、その声は。
私にもわかるくらい、震えていた。

