ヒロも満面の笑みで、シュウくんの肩に腕を回している。
2人とも、すごく楽しそう。
アキと2人を見ていると、顔を上げたヒロが、キョロキョロしながら二階席を見ている。
あれ、誰かを探してる?
…もしかして、彼女かな。
ズキ、と、やっぱり胸が痛んで。
泣きそうになって、俯いた。
ヒロと彼女が、笑い合う姿なんて。
そんなの、やっぱり見られないよ。
鼻の奥がツーンとする。
涙で視界が滲み始めた、そのとき。
「カナ、ほらカナ!」
「え?」
「こっち、見てるよ!」
「えっ誰が…」
「ヒロに決まってるでしょ!」
ぱっと顔を上げる。
そこでヒロとバッチリ合った目。
「シュウ、すげえだろー!」
なんで、と思うより先に。
嬉しそうに笑うから。
いやヒロ、自分じゃないじゃん、と言うアキにも、笑って。
「うん、本当、すごい!」
少しだけ声を張れば。
ヒロの得意げな顔と、
「いや、俺だから、決めたの」
シュウくんの冷静なツッコミが返ってきて、また笑った。

