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試合が始まり、体育館が熱い空気に包まれる。




…練習試合なのに、この観客の数はなんなんだろう。


はじめはそう思っていたが、試合が進むにつれてそんなことは考えられなくなってくる。




華麗なドリブルで切り込んでいって。


素早いパス回しで相手を翻弄し。


ディフェンスをかわしながらゴール下までいくと。


綺麗なフォームでシュートし、ボールがリングに吸い込まれる。




ゲームに夢中になって、周りなんて気にしていられない。




バスケのことはあまりわからないけど、この試合は本当にすごいんだろうと思う。


攻守の移り変わりが速すぎて、ついていけないくらい。




「…あっ」




相手チームのボールをカットして、1人相手陣営に突っ込んでいく。




…ヒロだ。




相手チームは虚をつかれ、しかしすぐにディフェンスに動き出した。




ヒロは本当にうまくて、はじめからずっと目立っている。


かなりマークされているのに、それをものともしない。




それに今日のヒロは、本当に楽しそうにバスケをしていると思う。


私も嬉しくなって、声を出して応援したりしてした。




ヒロは姿勢を低くしながらどんどん進んでいく。


チームメイトもそれに追いつき、またパス回しが始まる。