ある晴れた日のこと。

部活が終わり、帰り道を歩いていた。

その日は手が凍るほどの寒さで、私は早く帰りたくていつもと違う、近道を歩いていった。

近道とは、私の家の近くにある大きな丘のことだ。

普段は通らないが道は知っている。

手に温かい息をはーっと吹きかけ、擦りながら早足で歩いていた。

ふと立ち止まり、横を見た。

新しい獣道が出来ている。

「こんなとこに道あったかな…」

昔から冒険心が強い私は何の躊躇もなく、獣道を進んでいった。

急な斜面をどんどんどんどん登ってゆく。

寒さを忘れ、汗をかき、登ってゆく。