「もう平気。
歩ける」
「いいから黙って大人しくしていろ」
「…はい」
自分で歩く事を拒否され
社長専用車からマンションまでも
終始、ナツメの背中に
背負われたままだった。
前秘書という人物が
なぜ辞めてしまったのかわからないが
会社にとっても
ナツメにとっても
必要不可欠な存在だった事は
みんなの反応を見ればわかる。
そんな話を目の当たりにしてしまうと
ココにいる事が居づらくなってしまう。
それはやっぱり
その人にしか務まらないんだろうと
思わざるを得なかった。
「到着」
ナツメの肩を借りて
なんとかマンション内へと入れたが
酒の力は徐々に体を蝕んでいき…
(目が回る…)
立っている事にすら
苦痛に感じた。
久しぶりに
見境なく飲みすぎたなと痛感。
「部屋まで送っていくから
もう少し頑張りな」
コクンと小さく頷き
ナツメの背中を体で感じながら
ふんわり香る香水に包まれ
部屋の前に到着。
暗証番号を入力し
カードキーで開錠すると
ヒメの部屋へ直行。
布団にダイブ。
「こんなところまで…ごめん」
『迷惑掛けたなぁ』と
酔っ払いながらも反省。


