「ねぇ…社長」
「なんだよ。
急に改まって」
「アタシの前の秘書って…
そんなに立派な人だったの?」
突然の質問に
ナツメは一瞬驚き
ヒメから目を逸らした。
それが答えだった。
「やっぱりそうなのか…。
マスター!
もう1杯おかわり!」
「バカッ
やめろッ!」
注文するヒメと
それを全力で止めるナツメに
ギンもどうしたらいいかわからず
未だ困惑したままだ。
「目の前で…あんな…」
社員の言葉1つ1つが蘇り
自分の価値を重ねて
自己嫌悪に陥って。
「アタシは確かになんの取り柄もないし
素質もない。
適うワケ…ない」
「なんだ?
何言ってんだ?」
ヒメの独り言に
ナツメは話が見えず
何が言いたいのか
ただただ驚くばかり。
「とにかく帰るぞ。
ギン、後ろから出てもいいか?」
そう言いながらナツメは
ヒメを背中に背負い
誰にも見つからないように
裏口から外に出ていった。
「ったく。
なんつー飲み方してんだ。
体に悪い」
「あー…うん」
外の空気に触れてか
酔いが薄れつつある中で
今の状況もナツメの発言も
理解出来ていた。


