「え、お2人は知り合いなんですか?」
ヒメとナツメを交互に見ながら
質問を投げ掛けた。
「知り合いというか…
“ほぼ”初対面というか…」
何も答えないナツメに
どう説明していいのかわからず
曖昧な返事になってしまった。
「“ほぼ”初対面なんですか…?」
ヒメの言葉に困惑したのは
間違いなくギン。
「この前、別のところで会ったんだ」
「あ、そうだったんですね!
じゃぁ今日は奇遇なんですね」
「この店には
よく来るんです?」
離れた席からナツメに向かい
ヒメが問う。
「まぁ…そうだな」
言葉のキャッチボールは瞬殺。
協調性がまったく感じられない。
「新藤さんは
結構前からこの店の常連ですよ。
8年ほどの付き合いです」
助け船を出してくれたのは
またもギン。
「そんなに長い付き合いなんだ…」
「新藤さんの会社がすぐ近くで
よく仕事帰りの深夜1時過ぎくらいに
飲みに来てくれるんすよね」
嬉しそうにニコニコしながら
ナツメに問い掛けるギンだが
その当人は愛想笑顔のみ。


