そして目の当たりにした
室内の凄まじい光景。
「うわ…ひどッ」
明らかに何者かに荒らされた形跡があり
様々なモノが床に散乱している。
(泥棒…?)
頭の中が混乱し
玄関先で立ちすくんでいると
奥の部屋から
“カタカタ”と音が聞こえてくる。
“誰かいる”
確認もしていないのに
直感した。
そして
何を血迷ったのか
恐る恐る
音のする部屋へと進んでしまった。
次に直面した現実に
ヒメは絶句。
そこにいたのは
ヒメのクローゼットを漁っている
隣人ストーカー男。
「何…してるんですか?」
ヒメの存在に気付いていない男に
何を思ったのか
こちらから声を掛けてしまった。
もちろん
その声に反応した男は
ゆっくりと後ろを振り返り…
「あ、神崎さん…
待っていたよ」
まったく驚く様子はなく
それどころか
口元だけ笑みを浮かべ
ヒメを直視。
男はココで
待ち伏せをしていたのだ。
「やっぱりアナタが…」
「ようやくボクに気付いてくれたんだね。
ココに来てから毎日キミを見てきて
何度も手紙を入れておいたのに
全部無視なんだもん。
寂しかったよ。
そうそう
キミのモノが欲しくなってね」
その言葉を聞いて
一瞬にして背筋が凍った。


