恋をする、その先に…


翌朝。


ナツメの専用車で駅まで送ってもらうと
シキとヒメだけが車から降りた。



「俺は別件があるから
 あとで合流する。
 シキ、あとは頼むな」


「了解。
 ヒメちゃんをしっかり守りますよ~」



ヒメをシキに一任し
ナツメは車に乗ったまま
どこかへ出掛けてしまい
ヒメ達はアパートへと向かう。



「鉢合わせにならないように
 俺が男の部屋の前で見張ってるから
 自分の部屋に行きなね」


「ありがとう。
 そうする」



“もしも”の事を考え
歩きながら入念に打ち合わせをし
アパートに到着。


ドキドキしながらも
ヒメが先を歩き
階段を進むと
その後ろをシキが追う。



打ち合わせ通り
シキは男の部屋の前で立ち止まり
怪しいところはないかと
周辺の様子を伺っている。



「ふう…」



ヒメは震える手を抑え
鍵をギュッと握り
鍵穴に挿そうとした。


・・・が。



ふと
妙な違和感を覚えた。



(なんだろ…
 イヤな予感がする)



根拠は何もないが
胸騒ぎがする。


鍵を差し込まず
そのままドアノブをまわすと…
なぜか、開いてしまう。


出掛ける時は
確かに鍵を掛けたはずなのに
危ない雰囲気しかない状況に
思わず息を呑んだ。